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さて本日は、教室で起きたことについて書きたいと思います。

日曜日、N5クラスの授業中に、ある出来事がありました。
私はテキストの中の一文を、ある生徒様にあてました。
「〇〇さん、読んでください」と何度か声をかけたのですが、なかなか読み始めません。
「どうしましたか?ここを読みますよ」と促しても、やはり始まりません。
そのとき、彼が小さな声で言いました。
「にほんご…わかりません…」
私はその瞬間、ハッとしました。
そして、その理由はすぐにわかりました。――彼は、ひらがなが読めなかったのです。
私は彼にプレッシャーをかけないように、言いました。「あ、そうですか。じゃあ私が読みますね。聞いていてくださいね」
N5クラスということで、語学力にばらつきがあることは想定していたつもりでした。
けれど、それは文法や語彙の理解度の違いくらいだろうと、どこかで思い込んでいたのです。
彼にとっては、教科書の文字がまるで読めない地図のように見えていたのかもしれません。
そんな中で、「わかりません」と勇気を出して伝えてくれた彼の一言は、
「本当にわかっていなかった」のは私のほうだったのだと、気づかせてくれました。
今後はもっと、
・生徒様の“見えていない部分”に目を向けること
・理解しているふりをしていないか観察すること
・助けを求めづらい子がいないか気を配ること
そんなことを大切にしていきたいと思います。
この出来事は、きっと私にとって生涯忘れられないものになるでしょう。
そして、彼の言葉が、私自身の指導をもう一歩進めてくれたと感じています。