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2025.10.09

自他の対応

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さて本日は、自動詞と他動詞のペアについて書きたいと思います。


日本語を勉強している学習者様がとてもよくするまちがいの一つに、次のような文があります。

✅ へやの でんきを つく/へやの でんきが つける
✅ へやの ドアを あく/へやの ドアが あける

どうしてこのまちがいが起きるのでしょうか。理由は大きく二つあります。

ひとつめは、母語の影響です。

多くの学習者様の母語では「電気をつける」「ドアを開ける」といった表現は「〜を」を使って表します。英語でも turn on the light や open the door のように目的語を取る言い方が自然です。そのため、日本語でもつい同じように「〜を」と言ってしまうのです。

ふたつめは、「対象」だけを考えてしまうことです。

「ドア=開けるもの」「電気=つけるもの」という対象だけに意識が行ってしまい、「だれが何をするのか」「自然に変わるのか」という文の性質まで考えられていないのです。

しかし、日本語では、「つく」「あく」などの自動詞は、人が何かをするのではなく「自然に状態が変わる」ことを表します。

「電気がつく」「ドアがあく」が自然な言い方です。一方、「つける」「あける」などの他動詞は「人が何かをする」という行為を表すので、「電気をつける」「ドアをあける」と言います。



まちがえないためのポイントはとても簡単です。

「人がする」のか「自然にそうなる」のかを考えることです。「人がする」なら他動詞、「自然にそうなる」なら自動詞になります。

例文で練習してみましょう。

まどが あいた。
せんせいが ドアを あけた。
でんきが ついた。
わたしが でんきを つけた。

このように、文の中で「人が何かをしたのか」「自然にそうなったのか」を意識することが、自動詞と他動詞を正しく使い分けるための大切なポイントです。

特に初級のうちは、動詞をペアで覚えるようにするとまちがいが少なくなります。たとえば、「あく/あける」「はいる/いれる」「おちる/おとす」など、よく使う動詞をペアでまとめて練習しておくと効果的です。

自動詞と他動詞は、文法の中でも学習者様がつまずきやすい分野ですが、考え方の基本はとてもシンプルです。

「人がする」か「自然にそうなる」か。この違いを意識しながら、日本語の表現を少しずつ身につけていきましょう。

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