日頃より弊社ブログにお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
さて本日は、『講師として心がけていること』について書きたいと思います。
私は、日本語講師歴6年になります。
英会話を教えていた頃も含めると、指導歴は20年になります。
といっても、最初から「良い先生」だったわけではありません。
教える側に立ったとき、私はたくさんの失敗をしました。
でも、そのたびに「学び直すチャンス」だと思い、学びました。
いまでも授業に入る前は、毎回、気が引き締まる緊張の瞬間があります。
目の前の生徒様に、どうすれば伝わるか。どうすれば支えられるか。
そんなふうに考えながら、日々“あること”に気をつけて授業をしています。
今日は、そんな私が「講師として大切にしていること」を3つにまとめて書いてみたいと思います。

授業の中で、私が一番気をつけていることは、「否定しないこと」です。
生徒様が間違えたとき、「違います」「できていません」と伝えるのは簡単ですが、それでは心を閉ざしてしまうこともあります。
私が心がけているのは、まず「〇〇ができたね」と肯定すること。
たとえ答えが違っていても、「〇〇という考えも面白いですね」「ここはこうするともっとわかりやすくなりますよ」と前向きな言葉に言い換えます。
生徒様は、日本語という新しい世界に飛び込んで、日々たくさんの不安や恥ずかしさを感じながら学んでいます。
だからこそ、講師が一番の応援者でありたいと思っています。
間違いを責めるのではなく、挑戦したことを認めていく。
それが、私の「教える」の土台になっています。
「質問がない=理解できている」とは限りません。
むしろ、何も聞かない生徒様ほど、分からないことを抱え込んでいることが多いと感じています。
だから私は、“質問しやすい空気”をつくることに力を入れています。
「わかりましたか?」ではなく、「どこが気になった?」と聞くようにしています。
「わからない」と言ってもいい教室にしたい。
そのために、自分が間違える姿を見せたり、「これ、難しい文法だよね」と共感の言葉を添えたりもします。
時には、沈黙が続くこともあります。
でも、焦らずその沈黙に寄り添うようにしています。
わからないことをわからないと言える、そんな安心感の中でこそ、本当の学びは深まると思うからです。
弊社の【けいわ日本語教室】では、仕事のために来日している生徒様がほとんどです。
また、その中でも、JLPTに合格したい人など目的は各自で深まります。
だからこそ、私は「今、この授業がその人の目的にちゃんとつながっているか?」を常に意識しています。
「今日は何のためにこの文法を学ぶのか」
「この語彙は、どんな場面で使うのか」
一つ一つの学びを、生徒様自身の未来に結びつけていくことが、講師の大切な役割だと思っています。
“教えること”がゴールになってしまうと、説明だけが丁寧で、心が置き去りになることもあります。
でも、私が届けたいのは「その人の人生に役立つ日本語」。
だから、伝わること・活かせることにこだわり続けたいと思っています。
教えるということは、知識を渡すだけの仕事ではありません。
生徒様の目線に立ち、気持ちを汲み、信頼を少しずつ重ねていく営みだと思っています。
どんなに経験を積んでも、「伝わっているかな」「この教え方でよかったかな」と迷うことはあります。
でも、その迷いごと向き合いながら、“伝わる講師”でありたいと願っています。
教えることで、私も育ててもらっている――
そんな感謝の気持ちを忘れずに、これからも教壇に立ち続けていきたいと思います。