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2025.05.15

“通じる日本語”は、“文法”から始まる

日頃より、弊社ブログにお越しいただきまして、誠にありがとうございます。

さて、本日のテーマは【文法】です。


「日本語レッスンって、現場で役に立ってるのかな」
もしかしたら、こんなふうに思う企業様がいらっしゃるかもしれません。

たしかに、レッスンではカードゲームや会話練習など、一見「遊び」のように見える場面も多くあります。

でも私たちが行っているのは、あきらかに「ことばのトレーニング」です。 そしてその目的はまさに、現場の安全、報連相、作業効率に直結するものなのです。


文法の理解が、「伝わる報告」を作る

先日、N5レベルの生徒様が、私にこんな話をしてくれました。

「やってますとやりましたの違いがわかりません」

日本語に慣れていない学習者様にとって、進行形と過去形の違いは非常に難しいものです。 けれど、それを現場で使ってしまえば、

「やってます」→まだ作業中、または“やってあります”の意味だと完了  
「やりました」→完了

というように、報告の“ズレ”が起こります。 これが作業の遅れやトラブルの原因になることもあるのです。

私は作業の流れを確認しながら、一緒に整理しました。 その生徒様は、次回から「終わりました」としっかり報告できるようになったそうです。


形があるから、それに従って話せる

文法を学ぶとは、形を身につけること。 形があるから、それを身につけた生徒様は、さまざまな場面で使えるようになります。

報告や連絡だけではなく、許可や相談、確認のような「コミュニケーション・ライン」にも、文法力が必要です。

例えば…

  • 「使ってもいいですか」 → 事故を防ぐ最後の確認
  • 「先に行ってもいいですか」 → 工程のずれを防ぐ声かけ
  • 「もう一度言ってください」 → 聞き返しができることで、失敗が減る

これらはすべて「形」を知っているかどうかで、可能になるものです。


企業と教育のあいだに

私たち講師は「現場で必要な日本語」を意識して教えています。 でもそれは、現場からの声があってこそ、育つ視点でもあるのです。

レッスンと現場は、止むことのない流れで繋がっていると思います。

企業様と講師が、最初から手を取り合って教育を作っていけたら。 教育が「現場に直結する力」に変わるはずです。


文法を教えることは、これからを作ること

私たち日本語講師は、「文法がわからなければ、やりとりはできない」と実感しています。 指示が通らない、報告があいまい、確認できず事故が起こる―― それは「文法力が育っていない」というシンプルな原因であることも多いのです。

レッスンで生徒様が笑顔で言った「わかりました!」のひとことが、 次の日、現場での明確な報告につながることもあるのです。

私たちはそれを、何度も目の当たりにしてきました。

文法の勉強は、机の上だけの話ではありません。 レッスンの一文、文法の一文が、現場での安心、安全、信頼を作る「はじまり」になるのです。

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